労災についての費目流用ルール

労災についての費目流用ルール

労災・厚生年金による補償については、他の費目に流用することはできないという原則・メリットがあります。
自賠責や任意保険から支払われた治療費は例えば慰謝料の補填に流用できますが、労災から支払われた治療費は流用できません。

 

最高裁判決は以下のように判示します。
労災保険法又は厚生年金保険法に基づく保険給付の原因となる事故が被用者の行為により惹起され、右被用者及びその使用者が右行為によって生じた損害につき賠償責任を負うべき場合において、政府が被害者に対し労災保険法又は厚生年金保険法に基づく保険給付をしたときは、被害者が被用者及び使用者に対して取得した各損害賠償請求権は、右保険給付と同一の事由(労働基準法84条2項、労災保険法12条の4、厚生年金保険法40条参照)については損害の補填がされたものとして、その給付の価額の限度において減縮するものと解される

 

そして、ここにいう保険給付と損害賠償とが「同一の事由」の関係にあるとは、「保険給付の対象となる損害と民事上の損害賠償の対象となる損害とが同性質であり、保険給付と損害賠償とが相互補完性を有する関係にある場合をいうものと解すべき」とされています(最判昭和62年7月10日判決)。

 

労災保険法による休業補償給付及び傷病補償年金・厚生年金保険法による障害年金が対象とする損害で補填されるのは、消極損害(逸失利益)のみであり、積極損害及び慰謝料は「同一の事由」の関係になく流用されません。

 

診療費等給付は治療費等に費目拘束されます。
休業給付は休業損害に費目拘束されます。
(大阪地裁平成29年6月20日判決)

馬場総合法律事務所
弁護士 馬場充俊
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