弁護士のトリセツ
どのような場合に弁護士に依頼すべきかご説明いたします。

【訴えられた・・・どこの弁護士に依頼すればよいか】

どこの地域の弁護士に依頼すればよいのか分からない方も多いと思います。
ですが、基本的には、ご自身がお住まいになっている場所から近くにある法律事務所の弁護士がよいかとおもいます。

 

判断基準として、まず裁判所の管轄があります。
例えば、テーマにも記載させていただいておるとおり、訴えられて訴状が急に届いたケースを想定します。
訴えられた場所は「東京簡易裁判所」。あなたの住んでいる場所は京都。この場合東京の弁護士を探した方が良いのか、依頼するのも裁判所にちかい先生が良いのかと考えてしまうでしょう。
確かに京都の弁護士に依頼した場合、東京簡易裁判所まで行かなくなると交通費を別途請求されることも多いでしょう。
しかし、移送を申し立てることで、管轄を京都へ移すこともできる場合があります。
例えば、東京の相手方の不動産業者からあなたが何年も使い続けていた京都祇園の土地について、「真の所有権は相手方にあり登記名義も相手方だから明け渡せ、またその賃料相当額40万円も請求する」との訴状を東京簡易裁判所に起こされるとされます。
しかし、民訴法19条2項は、「簡易裁判所は、その管轄に属する不動産に関する訴訟につき被告の申立てがあるときは、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送しなければならない。ただし、その申立ての前に被告が本案について弁論をした場合は、この限りでない」と必要的移送の条文により、京都地裁に管轄をもっていくことができます。
すぐに京都の弁護士に依頼しておれば移送申立をしてもらえるでしょう。しかし、但し書きに記載あるように、あなたが東京簡易裁判所で弁論をしてしまっていれば、同条項は適用できなくなります。

 

次に、遺産分割調停のケースもご紹介します。
あなたの父親が愛媛でなくなり、相続不動産も愛媛。しかしあなたは京都に住んでいる。
相手方の兄は愛媛に住んでいる。
この場合、調停を申し立てる場合、愛媛の家裁が管轄となります。
しかし、このような当事者でも調停への参加がしやすいように、家事事件手続法では、家庭裁判所が、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、遺産分割調停期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができるとされています(家事事件手続法258条1項・54条1項)。
弁護士との打ち合わせ等は京都で行い、弁護士には電話会議で調停に望んでもらうという形がよいかとおもいます。

 


弁護士に依頼するタイミング

訴状などの裁判所からの書類が届いた場合

裁判所から訴状や支払督促や申立書などの書類が届いた場合は、すぐに弁護士に相談・依頼するべきだと思います。
なぜか?それは放っておくと取り返しのつかないことになるからです。例えば訴状に対して答弁書も出さずに、指定された期日に出廷しない場合は、欠席判決になり、そうこうするうちに強制執行をされることになります。
また、対処しなければいけない法的手続きには期限があります。絶対に放置することはできません。例えば、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ,裁判所は,債権者の申立てにより,支払督促に仮執行宣言を付さなければならず,債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをしてくるでしょう。また,仮執行宣言の付された支払督促に対する異議の申立期間は,仮執行宣言の付された支払督促を受け取ってから2週間以内です。また、「時効」「期限」などの実体法上の時間制限もあります。相続放棄をするにももう手遅れといったこともあり得ます。
もちろん、ご自身で対処できる方もいるかもしれませんが、念のために法律相談は受けられた方が安心と思いますし、弁護士費用も見積依頼したほうが良いかと思います。面倒な事務作業等を抱えることは、日常生活にストレスを生じさせます。

相手方に弁護士がついている場合

弁護士は法的紛争のプロであり、これに対処する一番の手段は弁護士をつけることに他ならないと思います。インターネット等で法律知識はいくらでも得られる時代ですが、弁護士の交渉力・交渉方法・独特の世界があります。
また、時には言質をとられてしまうこともありえますし、重要な情報、証拠を知らずにとられてしまうことも・・・。そうなってしまってから、弁護士を依頼したのでは遅くなってしまう場合も多いです。

本人同士で話し合っても話が進まない場合

例えば交通事故により怪我をしたが、加害者は賠償金を支払わず、任意保険にも加入していない。
例えば相続に関する話し合いにも応じてもらえず、硬直状態の場合。
例えば離婚したくても応じてもらえない場合。
こういう場合に,弁護士であれば法的手続きを取ることができます。確かに、何かトラブルが起こった場合に,まず試みるべきことは当事者間での話し合いです。いきなり弁護士を立てれば相手方の感情を逆なですることも大いにあり得ます。
しかし、早期に弁護士に相談していれば、側面支援を得ることができ、有利に話し合いを進めることも多いと思います。弁護士が自分のバックにいるという「お守り」的な使い方です。弁護士が出ていくべきタイミングは弁護士と相談したり、弁護士の指示に従って決めるべきでしょう。
相手方が、何度も連絡を取ろうとしてきたり、脅迫めいたことを言ってくる場合は、弁護士を「守りの壁」として使うべきです。

弁護士費用について

弁護士費用は高いというイメージがあると思います。
実際、個人の財布からすんなり出せる金額ではないことが多く、私も支払う側に立てば当然躊躇するだろうなと思います。
しかし、それには理由があるのです。
まず一つ目の大きな理由は、解決すべき問題が案件によって異なるために、解決方法もそれに応じたものになるからです。
選択すべき法的手続きが複数あることはもちろんですし、一つの訴訟をとってみても、主張するべき事柄は案件によって異なります。
弁護士は、お聞きしたご相談内容をもとに、自分なりにベストだと思う解決方法を思索し、提案する。
あくまで委任契約であり、基本的には大量生産することができないものです。

 

もう一つの理由は、訴訟等や示談交渉等は、何度も裁判所や相手方とのやり取りを行わなくてはいけない、一回きりのものではないということです。何らかの結果が残るまでは継続的に仕事を行わなければならないし、2,3年かかることも少なくはありません。

 

かつて「日本弁護士連合会 報酬等基準」というものがありましたが、今この報酬規定は廃止されています(平成16年廃止)。
現在は、弁護士毎に適切な報酬基準を確立することになっています。
タイムチャージで弁護士費用を計算される法律事務所もあります。今の私の考えは、タイムチャージを取り入れようとは思っておりません。なぜなら、クライアント側からみて、弁護士がどれくらいの時間をかけて書類作成を行ったかは見えるものではないため、不透明だからです。
また、あまりにも安価な弁護士費用を設定することもやめようと思っております。なぜなら、安価な弁護士費用で大量の案件を抱えてしまうと、一つ一つの案件にかける時間がそれだけ少なくなるからです。

 

多くの法律事務所は、上記の日弁連の旧基準をそのまま用いていると思います。この基準は請求金額が大きければ大きいほど弁護士費用も高くなるという計算式で基本成り立っています。しかし、金額が異なるだけで弁護士としての業務が多くなる・難しくなるとは限りませんし、これを硬直的にそのままもちいるのもクライアントのために避けたいと思っています。

 

私はできる限りクライアントにとって分かりやすい弁護士費用を提示できるよう心掛けたいと日々考えています。しかし、案件ごとに異なる仕事をするのが弁護士である以上、その費用も異なることはある、そのことをクライアントに誠実に説明したいと思ったのです。

馬場総合法律事務所

弁護士 馬場充俊

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